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A Short Hike レビュー

コスパが良く高評価を集める作品。的を得たレベルデザインと快適な操作性によりプレイヤーにビデオゲームの良い所を凝縮して届ける。
Adam Robinson-Yu氏による「Independent Games Festival 2020」では最優秀賞も獲得している作品。プレーヤーは鳥の少女クレアとして島を探索し山頂到達を目指すアドベンチャーゲームだ。エンディングまで数時間のプレイで到達してしまうゲームだがプレイヤーに温かいものを沢山伝えてくる素晴らしい作品でもある。


ゲームの舞台ホークピーク州立公園は箱庭ステージになっていて高低差もありチャレンジングな地形。しかし滑空で島中を緩やかに飛び回ることが可能でこれが独特の浮遊感と心地よさを生んでいる。イベントをクリアしていったり各所に散らばったアイテム集めたりする事により行動エリアを広げていくのが基本のターン。

ローポリで構成された世界はキャラクターたちのユルい感じのセリフの効果もあって、プレイすることで穏やかな気持ちになるし目的達成のためのガイドも非常にこなれている。


戦闘は無くエリアの色々な場所でキャラクターがそれぞれの時を過ごしている。初見日本のゲームかと思うほど日本語訳は良い。有用な会話をするキャラも取り留めのない会話のキャラも混在するが不思議とストレスはない。彼らは軒並み朗らかで気さくに会話に興じてくれるからだ。


話を聞いた途端にアクションに移さなければならないような使命感も発生しない。ありのままの日常がステージに存在することを意識させるのが上手い。


レベルシステムは挑戦や探索による発見、達成による新しい要素の解放のバランスが良く出来ていてゲームのボリュームを考えるとその技は賞賛に値する。“黄金の羽根”集めの道中で遭遇する動物たちのガイド兼ストーリーテリングの密度が濃い。「どうぶつの森」「ゼルダ」の香りも放ちながら風舞うホークピークに大事な要素を巧みにパッケージした作者は賢い。主人公のクレアのパーソナリティもそっと織り込んである。

ギミックやムービーだらけのゲームをプレイする日常にフワッと現われた原点回帰の秀作。作者も自分の息抜きのために作ったというから納得だ。マルチプラットフォームで遊べる「A Short Hike 」を貴方のプレイリストに加えるのは如何だろうか。