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ANTHEM レビュー

紆余曲折を経たハック・アンド・スラッシュの大作は蘇ったのか
厳しい道程を歩んだ上にブラッシュアップが事実上放棄された Bioware 制作のハック・アンド・スラッシュ型のアクションRPG。ジャベリンというパワードスーツの持つ機動やギミックは楽しく、豪華絢爛なアニメーションが迫力を増幅してプレイヤーをその気にさせる。万能スーツを着ての立ち回りはスピードもあり実に愉快な体験だ。ローカライズも申し分ない。

問題点は周回プレイに意味を持たせられないゲームシステムのバランスの悪さと魅せる物語の欠乏だろうか。ハック・アンド・スラッシュはゲームをやり込んで何度も周回する中で、より高難度なクエストに挑戦しアイテムをアンロックして更なる強敵に対峙するのが醍醐味。

今回はジャベリンのアップグレードが重要になる訳だが、戦局を大きく変えるアイテムやゲームの周回を楽しくする要素が加わるタイミングが悪い。ジャベリンによる強く速い戦闘の合間にフォート・タルシスという都市に戻って無国籍市場のような場所を徒歩で移動するのはゲームプレイのリズムを乱してしまうと感じた。

各ステージの作りこみは背景においても手抜きが無いのが美点。ジャベリン装備中でも徒歩で目的地に向かうことも出来る。そうした時に見える光景は実に壮観で美しいのでウォーキングしながらレアリティなど各種多様な言葉の無意味さ反芻するのに丁度良い。PC版はNVIDIAのDLSSにも対応している。

これがベータ版であったなら期待も膨らむに違いない。しかし正規の価格で購入していたら腹を立てていたであろう。見過ごせないゲームの進行に影響を与えるバグが沢山あるからだ。改善をあきらめ現状のままの販売継続を決めたビジネス判断は仕方ないとも言える。このプロジェクトに起きたことが各所で丁寧に分析されているのは興味深い。Biowareのような大手でも間違えることはある。というショーケースだ。

バーゲンプライスやサブスクで体験出来るのであればコストを掛けた大作であることは間違いないのでプレイを避ける理由はなかろう。
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