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Arcade Paradise レビュー

メタ視点で味わう90年代前半の空気感。アーケード愛が炸裂する。

Xbox Game Pass のラインナップを眺める中でまったく気にも留めていなかったこの作品。「Vostok Inc. 」でも知られる英国の Nosebleed Interactive が開発して Wired Production が発表した「Arcade Paradise」オープニングからラフな風合いで「!?」となるが大丈夫。これはセンスの良いデキる人達が敢えてやっているようだ。

プレーヤーは父の家業を手伝うことになった娘 (アシュリー) を操作していく。アシュリーはコインランドリーで渋々働くことに。管理端末の凝り様が笑うのを通り越しインストールされているミニゲームに没入するレベル。家業を切り盛りしながら夢のゲーム道を歩んでいく経営シミュレーター要素がストーリーのサブテーマなのだ。

ゲーム性に無関係の乾燥機のディテールとドラムの動きが無駄に素晴らしい。丁寧にローカライズされているのでプレイは快適。オフィスで大昔のWindows風マシンで家族とチャットのやり取りも。コインランドリー奥には姉が始めたゲームコーナーがある。これらが全て実際にプレイ (一部はマルチも) 出来る面白さ。

「レーサーチェイサー」はチープだがBGMが50centのトラックをミニマルにした感じで笑ってしまう。ホッケーや他のゲームも楽しい。これらのゲームは攻略していく事でご褒美があり収益にも影響してくるというから放置出来ない。ゲーム内でプレーヤーが (アシュリーの) 日常を忘れてアーケードに興じるメタ構造が本当に良く出来ている。

ゴミ拾いやトイレ掃除をしてお店の評価を上げたり、管理端末でゲーム筐体別パラメーターを調整して収益率を上げたりする。コインランドリーをゲーセンに変えてしまうのがアシュリーの目的になっていく。アーケードゲームのクオリティは何度もコンティニューしたくなるようなものではない。しかし一般的にゲームが求められる大事な要素『気分転換が出来る』が洗濯・乾燥合間のプレイという形で表現され見事だ。

あの頃のゲーマーは皆そうだったのでは。小銭を持ってゲーセンで大音量に包まれ興奮し数分で小銭を飲まれたゲームが無理ゲーの時は怒りの炎に包まれたはず。そういう30年前の空気感を思い出させる玉手箱。最近アニメでも90年代前半のアーケードを描いた作品があった。またオールドゲーム回顧の流れを加速させそうな珍作であり良作でした。
「 コレは素晴らしかった! 上出来 ありがとう! 」
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