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Bramble:The Mountain King レビュー

姉弟の夜の冒険は美しい森と月光に抱かれる。北欧民話ベースのダークファンタジーは突如牙を剥きプレイヤーを奈落の底へ突き落す。


オープニングから美麗なビジュアルが目を捉える。暗い部屋でも窓から差し込む月の光や蝋燭の炎が美しい。不吉な悪夢にうなされた後、少年オーリは部屋から消えた姉リリモールのこん跡を探す。机上には不穏な未来を示唆する絵本一冊。オーリは窓枠を乗り越えて姉を探すために夜の森へと消えていく。フォトリアリスティックなビジュアルが本当に素晴らしい。ハッとするような美しさを持つカットがムービーやゲームプレイ中に幾らでも見つかる。

姉と再会し光る石を使って遊ぶ二人。これが投石アクションのチュートリアルに。エイムの操作性がしっくりこないので後で苦労しそうだと予感。妖精たちと楽しく遊んだり巨大なクリーチャーに驚いたり序盤は心安らぐ展開が続く。妖精たちとの隠れんぼは背景がリアルなため本当に目を凝らしてモニターに近づいて探すことに。


密生する植物や花の美しさや光源がもたらす明暗のコントラストが素敵だ。鬱蒼とした森の中などはオーリの導線が掴みにくくなる。登れる場所はツタが張り付いていたりTPS視点の時は適度にパン方向に制限を掛けガイドしてくれるのは親切だ。引きのカメラで小さいオーリを操作する時は居場所をロストする事も。操作系がシンプルなので概ねカメラの切り替えには不満なくプレイ出来る。


予備知識無しにプレイして急転直下の展開にはたまげた。リリモールが巨人にさらわれオーレのゴア道が始まるのだ。徐々にグロさが増していき調理場から始まる地獄横丁のビジュアルは狂気が溢れていて凄まじい。

シューターなどでも残酷表現はあるが気持ち悪さが久々の感触。思い出したのはサイレントヒルシリーズの裏世界。あれは最初からあのトーンがあってのもの。今作は安心させての無慈悲フルスイングなのでダメージ大きい。凄く驚いたが血の海を進むうちに段々納得の心境に。北欧民話や伝記はこうですよねと。

ダークステージに入ってもカットの美しさやビジュアルのクオリティの高さは変わらず。イカれた世界観で且つ芸術性を保っているのには感心。開発のDimfrost Studioのメンバーは Alan Wake や Dark Soul などからインスピレーションを得て、Unravel を見てリアルでダークなテーマに取り組む事を決めたようだ。unreal engine あっての表現か。
プレイヤーのミスでオーレは何度も殺されリスポーンする。デス&リトライの無間地獄に至らないように難易度は調整され、普通のプレーヤーが頑張って突破できるトラップやボス戦にはなっている。またセーブポイントも親切な刻みになっていてボス戦の中にも複数あるので安心。エイムはやはり問題あるが我慢出来るレベルだ。

ゴア道をオーレで進めていくのはゲームとはいえ軽い心理的負担を伴う。トロールの視線を盗んで隠れながら血の海を移動するその感覚は特別なゲーム体験になると思う。ボリュームも丁度よくストーリーテリングの完成度はかなり高い。ホラーが苦手な人は回避を。それ以外の人には是非プレイをお勧めしたい。