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Cloud Punk レビュー

ボクセルアートのサイバーパンクADVは「ブレードランナー」を箱庭ゲーム化。摩天楼をホバーカーで上下縦横無尽に駆け抜けろ。
「ブレードランナー」はご存知だろうか。私は「ブレードランナー2049」も見るほど好物だ。
作品では現実の未来とは別の世界観が提示され、その特異なスタイルが今尚多くの人を惹きつけて止まない。重層化した市街地の下層部は治安が悪く荒廃。様々な文化が混在して特にアジア社会のエッセンスがその多国籍風情を規定する重要な役割を占めている。

「Cloud Punk」は完全にその文脈で語ることが出来るゲームだ。ION Landsが開発し最初にPCで発売されその後各プラットフォームでも発売された。
AIにコントロールされる巨大都市ニヴァリスの非合法企業Cloudpunk。田舎から出てきたラニアは雇われドライバーとしてキャリアをスタート。 車中から望める市街やハイウェイの光景はまさしく映画そのもの。巨大ネオンや暗い空に浮かび上がる都市の無数の明かりが眩い。

HOVAと呼ばれるホバーカー でミッションをこなしていく。プレイ中のサウンドが素晴らしく電子音やSEそして無線のやり取りに常に包まれクールなニヴァリスにどっぷり浸かれる。旅のお供オートマタAIカミュの仕上がりも一興。HOVAの上昇下降音が心地よい。HOVAには燃料消費と耐久度の概念がありガレージで回復、スタンドで燃料を補充する仕様でカスタム改造もオーケー。これらの施設はマップ中に多数あるので心配はご無用。

ゲーム中のビジュアルに関してはリソースとの兼ね合いかデザインなのかボクセルアートだ。近距離カメラ時のオブジェクトの眺めはレゴ感が強く可愛い。マインクラフトほど荒くないが好き嫌いの分かれる所かもしれない。

基本は指示されたミッションを完了するのが目的になる。 目的地に向かい駐車場にHOVAを停めて依頼人に会うために幾らか歩く必要がある。最初それが分からず建物や広場に着陸を何度も試みて時間を無駄に。依頼人は皆それぞれに興味深い背景を持ち選択によって運命が変化していく。美しい巨大都市の明かりを眺めながらHOVAをゆっくり流して依頼人たちの言動や背景を思索するのが楽しい。

時間制限のミッション以外は自由に飛行可能なので選択により望外の結果になった場合、街を散策してアイテムを集めながら後悔に耽ってもいい。しかし選択をやり直したいと思ってそのポイントに戻る事は出来ない。セーブデータが1つなのだ。それをするにはスタートから再プレイをどうぞだ。ひたすらのお使いの連続はノベルゲーム的な側面もあり退屈と感じてしまう人も居るはずだ。

混沌の都市ニヴァリスを好きになれるかどうかで評価は大きく二分すると思われる。サイバーシティーのリアリスティックな物語に美麗グラフィックと楽しいギミックが実装された「ゲームノベル」として私はCloud Punkを支持したい。とにかく雰囲気が最高なのだ。

今回は Playstation Plus のラインナップとして楽しんだが更なるグラフィックの充実を目論んでPC版を購入することに。皆さんも是非プレイしてみてほしい。ION Landsは次作「ニヴァリス」を準備中でボクセルアートを脱したフルプライス製品を出すようだ。サイバーライフシミュレーターとして深化するようなので「あの作品」を越えられるのかこちらも期待したい。
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