GRIS レビュー

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GRISは洗練されたアートワークで現実離れした世界を緻密に美しく描く

 プレイし始めるとまるで美術部の生徒のキャンバスかという世界が広がっていく。アートや雰囲気に重点を置いてゲーム性やステージ設計に難のあるゲームは幾つかプレイした経験があるので幾ばくかの不安。

GRIS-scene
「この世界観いいですね。」に数分で達してしまうから最後まで心地良い

 実際はタイトルが表示されるまでにはGRISの世界を味わいたいと感じていた。キャラクターのモーションやイメージカットにもセンスが溢れていてこの世界観が最後まで徹底されていたら最高ではないかと期待する。

 一人の女性の夢の中のようなステージはひたすらに美しくGRIS(操作キャラクター)が不動であっても完璧に画になっている。2Dアクションのスタイルなのでマリオよろしく跳ねて乗ってみたり急いでみたりするのだが全くこの世界には必要ないようだ。トラップで死ぬ事はなく誘導もないので思うがままに進める。

 見事なアートワークを鑑賞しながら歩を進めるゲームプレイは贅沢な時間の過ごし方だと感じるほどだ。ゲームのフォーマットとしては雰囲気系にカテゴライズされるか。プレーヤーを現実離れした精美な世界に案内し虜にするアイディアを見事に具現化するセンスには脱帽するほかない。

 核となるプレイ体験や爽快感は得られないのが特徴かもしれない。トライ&エラーで突破したり敵と一進一退の攻防などの局面は存在しない。興味本位でプレイしてしまった筋金入りのシューターは必ず寝落ちするはずだ。美術館に入りきらないような大きさの絵画を端から分割スキャンして鑑賞するような体験だ。少しプレイしてみてGRISのコンセプトアートに魅せられた人には最高のコンテンツとなるだろう。

 ステージごとにバランスされたトーンとアート。GRISのモーションのキュートさ。水彩画のような繊細なグラデーション。コンセプトにマッチした見事なBGMとSE。凡そ近似的ゲームを作りたいと考える人たちを唸らせるクオリティに違いない。

 エンディングはお決まりのと言うのは過ぎるがカタルシスを得られるものではなかった。同じようなテーマでさらに磨き上げた世界をプレイさせてもらえる日を楽しみに待とう。

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