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Ori and the Blind Forest レビュー

ムービーやキャラクターの愛らしさは余興。神レスポンスの「オリ」で挑むガチ2Dアクション。エンドレスデスの先に貴方は涅槃を見る。
2015年にオーストリアの Moon Studios が制作し Microsoft Studios から発売され数々のゲーム賞と2D横スクロール型を好むゲーマーから賞賛を受けた作品。複数のエリアがゲートで繋がり広大なワールドマップを構成。俗に「メトロイドヴァニア」と言われるジャンルになる。

各エリア内で戦闘しながらスキルを高めたりアイテムを獲得したりすることで行く手を阻む障害を突破し新しいエリアを開拓する事を繰り返していく。一本道ではなく状況に応じて戻ったり何度も反復する動線になるのが特徴だ。

柔らかい雰囲気の美しいメニュー画面に始まり。まずはオープニングからオリとナルの仲睦まじい姿が和ませる。ふよぷよの優しい姿の二人がプレーヤーの心を掴む。冒頭でプレイヤーを操作キャラクターに感情移入させる手腕は頭一つ抜きん出ている。と言っても初見に時には「ヌルい世界だ」と感じてここでプレイを止めてしまったが。

操作して感じるのは圧倒的な「オリ」のレスポンスの良さとアクション設計の精緻さだ。例えば壁しがみつきからのジャンプで、スティックの入力方向とそのスピード、前入力との連続性などの違いによってオリのモーションと飛翔距離は変化する。空中での入力も柔軟に受け入れアクションにバラエティを与えている。

ジャンプや攻撃のレスポンスも最高。初見の場所でもグイグイ突っ込みたくなる仕上がりになっている。このオリの盤石の操作性がレベルデザインを担保している事は明白だ。

画面内全ての方向に動線が存在するフィールドがもたらす凝縮感と没入感はメトロイドヴァニア特有のもので、ただの横スクロール作品よりプレイを継続させるための引きが強い。セーブポイントはあるが各所に散っているので基本は手持ちのリソース(MP)を使ってセーブをこまめにしておかないと大きく戻される。

進めていく中で毎度各エリア内に難しいアクション必須のガッチリ詰む場所が発生する。リスポーンからの憤死を何十回も繰り返していると不思議と気持ちは澄み渡ってくる。

音楽とSEそして振動が敗者の記憶として何度も五感に刷り込まれるのにプレイを継続してしまう。詰みが理不尽ではなく閃きや練習で突破できるとプレーヤーに思わせるゲームデザインになっているからだと思われる。

音楽はプレイの邪魔をせず充実感やリプレイ性を与える仕上がりで実に巧みだ。切ないストーリーと美しいグラフィックと「死んで覚える死にゲー」レベルのシリアスなプラットフォーミングを併せ持つガチ2Dアクションゲーム。ぜひ腰を据えてその世界観を味わって頂きたい。